映画『はやぶさ/HAYABUSA』「はやぶさが喋りだす演出に観客呆然」の嘘

ちょっと遅れ気味な話題なんだけども、映画『はやぶさ/HAYABUSA』の事。

「前者→2ch転載→後者(2chまとめサイト)」の、よくある流れです。個人的には「大当たり」の映画だったんだけど、興行収入的には大コケだったと。そこまではいいんだけど、おかしいのは記事中の映画評論家の評。

そもそも竹内の役柄は架空のオリジナルキャラで、はやぶさ帰還とは関係がない。いてもいなくてもいい存在という設定だからガックリです。

架空の人物である事に違いは無いけど、はやぶさに係わった複数のJAXA職員が担った仕事・役割を持たせた人物となっている。「いなくてもいい存在」などでは無い。この事については、パンフレットにも書いてあるんだけど、映画評論家さんって、観る作品のパンフレットを買ったり読んだりしないのかしら。

もう一つ、唖然としたのは、CGのはやぶさがアニメ声で“僕は今ここにいるよ”“なんだか力が出なくなっちゃった。みんなの声が聞きたいよ”なんてふうにしゃべり出したこと。せっかくの美談が漫画チックな駄作になってしまいました

一番の突っ込みどころ。はやぶさは喋っていない。あれは、子供向けの広報として主人公が描き始めた絵本『はやぶさ君の冒険日誌』*1の、「はやぶさ君」。CGで描き出されたはやぶさの現況に、「はやぶさ君」視点で語られる絵本の音読を、主人公(竹内結子)の声で被せるという演出。映画を観たんなら普通に分かるはずなんだけど、この評論家、ひょっとして観てないんじゃ?
映画自体は、事実にフィクションをプラスした内容なわけだけど、自分の分かる範囲では事実の部分に偽りは無かったように思います。帰還して再突入させる前のプロジェクトマネージャーの言葉だって、一見臭い演出のように感じられるかも知れないけど本当の話。*2ただ、誇張も無いので、淡々と物事が進んでいく様に退屈さを感じる向きもあるだろうなーとは思います。
最初の記事だけで収まっていれば「え、なにこの映画評論家()笑」で済んだのだけど、そのトンチンカンな映画評からキャッチーな部分を取り出して「はやぶさが喋りだす演出に観客呆然」だなんて拡散しちゃったもんだから、ネットユーザーの中では、すっかり「"はやぶさが喋る"駄作」扱い。駄作かどうかは見た人にもよるのでともかく、誤解されたままになるのも悔しいので、珍しく長文書いちゃいました。

*1:劇中では別の名前だったかも。

*2:その後、一人自分の部屋に戻ってネット中継を見ていたのも本当。